今回は「汞・みずがね・水銀」です。英語名 mercuryは水星の英語名でも有名です。
古くは錬金術に必ず出てくる魔法的な元素です。他の金属を「金・ゴールド」に変えることができるとか、永遠の命が手に入るとか、権力者が取りつかれた元素でした。
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秦の始皇帝も不老不死の飛躍を探させるために多大な努力をしただけでなく、本人は水銀中毒で錯乱したともいわれています。そう、水銀が毒であることは現代人はみな知っていて、身近なところで水銀を目にする機会はなくなりました。
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写真の鉱石、とっても水銀が染み出している危ない感じのものは世界的に有名なスペインのアアルマンデーン産の自然水銀 (Hg) です。
常温で液体である水銀は家庭の体温計、学校の実験室の気圧計などでガラスに覆われて銀色の姿を見ることができました。蛍光灯や乾電池に含まれていた水銀も使われることはなくなりました。
私が公害問題に目を向けるきっかけのひとつであった有機(メチル)水銀中毒の水俣病は食物連鎖の一部に私たち人間がいることを改めて気づかされ、環境問題は因果応報だと知った大事件でした。
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日本では中央構造線に沿って産出し、三重県丹生鉱山、大和鉱山は有名な産地です。辰砂(HgS)とは水銀の硫化物鉱石です。
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水銀は金を溶かし込んでアマルガムを作ります。熱して水銀を蒸発させると金が残る手法で精錬もしましたし、大仏に金鍍金をしました。ですから、権力者は金・ゴールドを手に入れることと共に、水銀を手に入れることも重要でした。
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朱色は「朱砂」とも呼ばれていて、「丹」と霊薬として珍重されました。朱に塗られた鳥居も防腐剤としての効果もきっと兼ねていたのですね。
日本各地にある丹生(ニュウ)という地名は水銀に関わることが隠されているといわれています。皆さんの近くにもありませんか?にゅう?
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